太陽がまた輝くとき

2018年07月17日 20:00

セイナルボンジン【タイトル】 太陽がまた輝くとき
【制作】 セイナルボンジン たぬ子様

太陽がまた輝くとき
【ジャンル】 映画風紙芝居ノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 - (分岐なしノベル)
【プレイ時間】 35分程度
【ツール】 NScripter
【容量】 21.9MB
【公開日】 2014年5月2日
【プレイver.】 1.11

久しぶりに帰省する娘のミハルと駅で待ち合わせていた刑事・コガ。
時間を過ぎても現れない娘を捜して駅のトイレへ向かうと、中から甲高い悲鳴が聞こえてきた。
トイレへと飛び込んだコガが見たものは、ナイフで刺されて横たわる愛娘の姿だった……。


第10回 ふりーむ!ゲームコンテスト にて審査員特別賞を受賞された作品です。

テキストと共にコマ送りで絵が変わっていく、紙芝居風のビジュアルノベル。
セイナルボンジンさんの作品をプレイさせて頂くのは3作目ですが、これが処女作です。

熟練の刑事が、愛娘が殺された事件を捜査していくサスペンスノベル。
ただ、事件の黒幕や殺された理由等、ストーリー自体はわりとベタな感じでした。
しかし、そこにプラスして主人公が「少林刑事」と呼ばれる拳法の達人という
ちょっと面白い設定が為されていて、そのB級感がまた良い。
その設定を活かしてのアクションシーンもあり、静と動のメリハリが見事でした。

絵はより新しい作品と比べると少し荒い気もしますが、それもまた味があります。
この作品の為に390枚もイラストを描かれているそうで……凄いですね。

オーソドックスな展開ながら、ストーリーの見せ方が素晴らしかったです。
やっぱり豊富な画像に感情を揺さぶられます。
序盤で凄腕の片鱗を見せつつも、娘に会える喜びでニコニコしているおやっさん。
事件に遭遇し、その表情が苦痛に歪む様やその後の鬼の形相が、見ていて辛かった……。
胸を打たれる悲壮感、手に汗握る緊張感、胸が熱くなる高揚感。
最初から最後までドラマチックで、良質のドラマを観ているように最後まで飽きずに引き込まれました。

ラストでタイトルの「太陽がまた輝くとき」という言葉の意味を噛み締めた時に、思わず涙腺が緩みました。
拍手する

はじまりのエターナル

2018年07月13日 20:00

BabyClan【タイトル】 はじまりのエターナル
【制作】 BabyClan マリモ様

はじまりのエターナル【ジャンル】 短編ノベルゲーム
【対象】 全年齢
【ED数】 - (分岐なしノベル)
【スチル数】 -
【プレイ時間】 10分程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 27.4MB
【公開日】 2017年4月19日
【プレイver.】 1.00

異世界トリップで出会った2人。
ついにお別れの日がやってきて…… (ふりーむ!作品ページより引用)


10分程度で読める、一本道のコメディファンタジーゲームです。
女性向けですが、糖度は控えめ。
エイプリルフール作品として制作されたようです。

私、その辺をあまり意識せず「綺麗だなぁ……」と見た目に惹かれてプレイしました。
元々他の作品をプレイさせて頂いて、好きな作者さんだったというのもあります。
パステルカラーの美しい色合い。無機質な研究所なのに、どこか柔らかくて暖かい感じがします。
異世界トリップというと、現代の女の子がファンタジー世界へgo!という展開が殆どかと思いますが、
この作品は、異世界ファンタジーの女の子が現代に迷い込んできたという珍しい設定。
そして更に物語は意外なシーンからスタートします。

が、しかし!
“コメディ”と銘打つだけあり、内容はなかなかアレです。アレ。
ぽかんとしたその後、笑い転げました。
事前に心構えが無かった分、尚更です。

ストーリーはどちらかというと真面目(?)な気がするんですが、キャラクターが個性的。
特にあるお方は……一目見た時から目を奪われてしまい、忘れられません。
まぁ、後からよく見るとふりーむ!さんの作品紹介ページにもばばーんと登場されているのですが、
前述のようにあまりじっくり見ずにやったので。
また、他の方々もすごく美麗で見惚れた……のに、皆お顔以上にキャラが濃いです。
クリア後に見られるおまけ部屋での解説は、想像を超えた設定でこれまたのけぞりました。
なんて話だ……!
色々書いておいて何ですが、これからプレイする方はあまり前知識なくやった方が面白いと思います。

しかし、その個性に圧倒されはしたものの、所々ちゃんと乙女ゲーしてるな!と。
続編もあるかもしれないとのことで、楽しみにしています。
きちんと主人公2人のストーリーを見たいというのももちろんありますが、
心奪われたあの方との再会も……楽しみなのです( ̄¬ ̄*)
拍手する

アキトDATE ショート ~尾のない黒猫~

2018年07月09日 20:00

FBI【タイトル】 アキトDATE ショート ~尾のない黒猫~
【制作】 FBI 花シュウ様、ハシクラオ様

アキトDATE ショート ~尾のない黒猫~
【ジャンル】 推理アドベンチャー
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 2時間程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 170MB
【公開日】 2013年5月23日
【プレイver.】 1.01

梅雨真っ盛りの6月某日。アパートの一室で、女性の遺体が発見された。
『事件か、事故か』
まったく関係ないはずなのに、気付けば事態の究明を押し付けられている主人公。
不本意全開な彼がトンデモ推理で解き明かす、事の真相とは……?
(ふりーむ!作品ページより引用)


第9回 ふりーむ!ゲームコンテスト アドベンチャーゲーム部門で金賞を受賞された作品です。

こちら、1作目に当たる「「アキトDATE 第一話 ~凶行の違和感~」を、
すごーく昔(コミックメーカー製の時代)にプレイさせて頂きました。
続編があるのは知っていて気になっていたのですが、ようやくプレイすることができました。
ちなみに第二話はシェアウェアで、体験版のみフリー公開されています。今作が3作目となります。

昔ながらの推理アドベンチャーで、絵がくるくる動くのがすごくカッコいい。
ただ、文字速度は少し遅めです。オプションの設定で速めにしてもやっぱり遅いと感じました。
捜査までの導入ストーリーの後、現場に入ってからは画面クリックで調査していきます。
同じ箇所も何度か調べると変化があるので、詰まったら粘り強く調べるのがポイント。
ちなみに、調査を進めると人物や証拠物に関しての「カード」が手に入り、
それについてアキトの考察を読むこともできます。
これはやらなくても進行できるようですが、見ておくと面白いです。
しかしこの刑事さん、前作には登場しているようですが……第一話にも居ただろうか?
さすがに10年前だと記憶にありません。今度また再プレイしたいですね。

推理は、かなり丁寧にポイントになる事象についてアキトが注視してくれるので、
何となくこういうことかな、と想像することができました。
推理シーンでは適切な「カード」を選んで推理を組み立てていきます。
特に、最後の推理シーンでは3つのカードを組み合わせて指摘せねばならず、
何となくやらせたい方向は分かったのですがどれが相応しいのか悩んで何度かやり直しました。
これ、当たっていると「これは正解だが、残りはダメ」と教えてくれてやり直しになるし、
徐々にアキトの台詞にヒントが増えていくという親切設計です。
また、ギリギリまで間違えると、もう一度間違えるとゲームオーバーですという警告と共に
「秋人に推理を任せる」という究極の選択肢が。
推理が全くダメでもクリアは可能な設計ですので、詰まって挫折することはないのです。

推理過程では、犯人と友達から罵られながらの披露になるので、ちょっとイラっとしました。
まあ、こんな金髪のチャラい兄ちゃんに言われたくないのは分からなくもないですが。
しかしアキトは優しくて、犯人を告発するような自分の行為に疑問を感じているようです。
冒頭シーンでは彼のやんちゃっぷりを見せられてちょっと引いてしまっていたものの、
そんな人の好さを見せられると、アキトに好感を持ってしまいます。人物造形、良いですね。

画面構成も面白く、絵も綺麗で臨場感があり、推理も本格的。
とても貴重な良質の推理アドベンチャーです。プレイできて良かったです。
拍手する

虚構世界

2018年07月02日 20:00

月読みの里【タイトル】 虚構世界
【制作】 月読みの里 黒時様

虚構世界
【ジャンル】 ノンフィールドADV
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 1時間半程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 13.5MB
【公開日】 2017年4月1日
【プレイver.】 1.02

世界に閉じ込められた8人を、脱出させましょう。 (制作サイトより引用)


4月1日に公開された、エイプリルフールにちなんだ作品です。

こちらの作品には、同作者さんの過去作「31日の彼」「記憶の檻」辻褄合わせの話し言葉
メリー・メリー」の四作の登場人物たちが登場します。
私は辻褄のトウとミヤが好きでして。まさかまた彼らに会えるとは思っていなかったので嬉しかったです。

作者さんからはそれらを未プレイでも楽しめると紹介されていて、確かにそうだとは思うのですが。
未プレイだと登場人物のプロフィールや台詞の意味がやっぱり分かり辛いと思うので、
可能な限り過去作プレイ済みで臨むのが良いのかなと。
私は前2作について記憶が薄れかけていまして、「え、この人なに言ってるの?」と思ったりしました。
プレイしているうちに「あー、そう言えばそういう人だったなあ」と少しずつ思い出してきて
ようやく腑に落ちたので、未プレイだと「この人何言ってるんだろ」で終わってしまうと思われます。

そして、このゲーム……一言で言うと、すごいです。
今までたくさんのフリーゲームをプレイさせて頂いて、大好きなゲームや面白いゲームには
いくつも出会う事ができました。
でも、これほど「え、すごい……ナニコレ」とポカンとした作品は多分ありません。
何というか、内容も面白かったけど、ゲーム自体の構造がユニークすぎて。
画面のあちら側の世界とこちら側が、シンクロしつつ進んでいく構造になっているのです。
こんなことできるの?どうやってるの?とすごい興味が湧きました。
私はゲーム制作者ではなく、プログラミングがさっぱり分からない人間なので余計にです。
プログラミングを理解できる方だと、そこまでの驚きはないのか、やっぱりすごいのか、どうなのかな。
もう9年程前、リアルタイムがエンディング分岐に影響するフリーゲームをプレイしたことがありまして、
その時もなんじゃそりゃ!と思ったものですが、その時以来の感覚かもしれない。
こういう、メタに絡むトリックを仕込んでくるゲームって今まででほとんど出会えていません。

ゲームをプレイして、その世界に行きたい、物語に関わりたいという願望を抱いたことのある方も
いらっしゃるのではないかと思います。
私もその一人なのですが、今回まさかこんな形で実現するとは思いませんでした。
しかし、ゲームと一体になる感覚を味わえた分、クリア後は彼らと遠い世界にお別れしてしまった
気分になり、ちょっぴり寂しかったです。

謎解きに関しては、言われた通りにやっていたら進んで行ったので
あまり意味を理解できないまま解いてしまったような感覚があります。
また、うっかりボタン押しすぎて台詞を読み飛ばしてしまったシーンもあり。
オートセーブで、謎解きもテキストも読み直すためのやり直しがきかないのがちょっと大変。
謎解きはスクリーンショット残しておけば良かったとちょっと思いました。

キャラクター同士の掛け合いがとても面白い作品なので、そこは悔しい。残念。よし、もう一周だ!
これからプレイされるせっかちさんは、読み飛ばしにはご注意下さい。
拍手する

一翼のアリス

2018年06月30日 19:31

有限の遑【タイトル】 一翼のアリス
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

一翼のアリス
【ジャンル】 女性向け恋愛ADV
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 12種類
【スチル数】 25枚
【プレイ時間】 1周2時間(トータル6時間35分)程度
【ツール】 LiveMaker
【容量】 68.1MB
【公開日】 2016年1月6日
【プレイver.】 1.21

普通の女子高生生活をしていた衣純/イスミ(名前変更可能)の前に、
白髪の青年、マシロが現れる。
「迎えに来たよ」と言うマシロによって、衣純は不思議な世界に連れ込まれてしまう。
そこはトランプの国、ハートの国と言うらしく、魔物や妖精など、
不思議な生物が存在する異世界だった。
衣純はハート国で帽子屋のユリオス、チェシャ猫のカミオと出会う。
ハートの国の女王と会った衣純は、彼女に言われる。
「この国を救って下さい。そうすれば、あなたを元の世界に帰しましょう」
ハートの国の救世主という一翼を担うことになった衣純。
滅亡しかけたハートの国を救うため、そして元の世界に帰るため、衣純は彼とともに旅に出る。
(ふりーむ!作品ページより引用)


タイトルの通り、不思議の国のアリスをモチーフにした乙女ゲームです。

いやー、心底好き!と思えてのめり込む乙女ゲームに出会えました。

私、「不思議の国のアリス」の原作は読んだことがないのですが、
小さい頃に読んだアリスの絵本が怖くて、今でもアリスと聞くと軽い嫌悪感を覚えます。
そんなプレイ前のマイナスイメージからの大逆転でした。
プレイ時間もかなり長いものの、飽きる事なく、長さを感じずにプレイできました。

この作品が好きな理由として、

・ 乙女ゲーかどうかを問わず、冒険ものが好き
・ ファンタジーが舞台の乙女ゲーが好き
・ 主人公がピンチに陥ったところを助けてくれる展開のある乙女ゲーが好き

と、好みのツボを突かれる要素がたくさん。
また、シナリオの展開や台詞回しが絶妙で、後半の盛り上がりでぐっと心を掴まれました。

物語は典型的な異世界トリップもの。
主人公の衣純が、白兎のマシロにハートの国へ連れてこられるところから始まります。
しかしこのマシロ、見るからにヤンデレ系でして。
私はヤンデレがあまり好きじゃないので、「うわー、この人怖い」と序盤は警戒しまくりでした。
また、そのマシロとは悪友というか犬猿の仲の、チェシャ猫カミオ。
そして帽子屋のユリオスと出会う事になります。
キャラクターの傾向として、マシロは一人ヤンデレ担当として異彩を放っており、
カミオとユリオスが飄々として軽い系で、この2人は少々似ている気も。
ただストーリーを進めて行くほどに違いは出てくるかと思います。

プレイしていると、図らずも最初にマシロルートに突入。
上記のようにこの方に対しては警戒心を感じつつプレイしていました。
序盤は確かに一方的な思い込みを見せるマシロですが、衣純と接するうちに変化が現れます。
ハッピーエンドのルートでは、序盤がそういう人なだけにクライマックスの展開には感動しました。
その辺りのストーリーの見せ方、本当に上手いと思います。
ただし、バッドエンドのひとつでは、ヤンデレ好きさんの期待に漏れず彼の本領が発揮されており……。
やっぱり来たか!と思いましたが、何となく怖さより切なさを感じました。

カミオは、一見気まぐれでチャラい人物に見えますが、接してみると意外な面が見えてくるのが魅力。
ただ、マシロとは違うとはいえ彼も大切なものがハッキリしているキャラクターで。
後半では、そこをキーポイントにした展開が魅せ場となっています。
カミオはハッピーエンド目指したのにノーマルへ辿り着いてしまったキャラだったのですが、
バッド2の展開には衝撃を受けました。え、何それ!?それじゃ衣純の決心は何だったの!?と。
想定外の驚きを感じたという点では良いものの、一番納得いかないエンドでした。

ユリオスは、最初から最後まであまり印象としては変わらないキャラです。
年齢が他のキャラより高く保護者的な存在なのですが、かと言って大人びている訳ではなく。
飄々としていて不真面目な感じでしょうか。
彼の場合、ラストでの台詞回しが本当に素敵でした。
この方はハッピーエンドもノーマルエンドもどちらの展開も大好きです。
その分バッドエンドのひとつはすごく悲惨で……ある意味死ぬより辛いかもと思ってしまった。
ただ、これはこれでお好きな方もいると思われます。
クライマックスの展開はどのキャラも素敵すぎて、クリア後もその辺りだけを何度も見返したのですが、
読み返した回数はユリオスが一番多いです。

ストーリーの骨格として、面倒なことは避けがちで立ち向かうことがなかった衣純が、
徐々に「変わりたい」と願い、、勇気を振り絞っていく成長も描かれています。
最終的に現実世界へ戻る結末も用意されているのですが、この世界での経験が無駄にはならず、
良い影響(と、趣味)を与えているのは救いのように思えました。

それから、この辺にはあまり触れない方が良いとは思うものの、思わずにはいられないこと。
以前に別の異世界トリップものの作品でも書いたことがあるのですが、
女子高生が異世界に飛ばされてそのまま残るという展開についてです。
残された家族や友達のことを思うと気が重いです。めちゃくちゃ心配するだろうに(・ω・`)
ただ、前述の別作品では主人公がわりと軽いノリで異世界に残ったので心底そう思ったのですが、
今作では衣純がそこを分かった上で悩んで決断を下していることと、
現世界に戻るルートで、連れ去られた時点から時間が経っていなかったこと。
その2点では受け入れやすかったかもしれません。
もういっそ、天涯孤独という都合の良い設定にして欲しいと思わなくもないですが……
この作品の場合は、衣純は現世界に帰りたいと強く願っている点も肝になっているのですよね。
その点では「現世界に大切なものがある」のは必然ではあります。
フィクションでそこまで考えなくてもと我ながら思うのですが、どうしても引っ掛かってしまい
諸手を上げて喜べないので、異世界トリップ作品は毎回複雑な気持ちです。
拍手する


最新記事