九泉の屋敷

2018年12月16日 20:31

さかあがり様【タイトル】 九泉の屋敷
【制作】 さかあがり様 

九泉の屋敷
【ジャンル】 和風探索型アドベンチャー
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 5種類
【プレイ時間】 1周30分(トータル1時間半)程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 60.3MB
【公開日】 2018年8月31日
【プレイver.】 1.01

連続殺人事件が起こっている九泉山。
山中に市民が立入る事のないよう、登山口の警戒をさせられていた日向彦(ひなたひこ)は、
山の主を名乗る可惜夜(あたらよ)と出会う。
口論を重ねるうちに、二人は何者かによって屋敷の中へと誘い込まれてしまう。
果たして、彼らはここから脱出することが出来るのか。 (ふりーむ!作品ページより引用)


警官の日向彦と、愛嬌のある神様・可惜夜のコンビが協力し、連れ去られた屋敷から脱出するゲーム。
まず、冒頭で可惜夜の見た目の性別を選べます。
男女どちらとも可愛くて迷いましたが、男でプレイしてみました。
ストーリーに変わりはないものの、途中の台詞が若干違ったりするのかも。

舞台は、元々は可惜夜の住いである屋敷。
今は何者かに支配され、主である可惜夜も完全には自由が利かない様子です。
神様の屋敷……というととんでもなく広そうですが、意外とコンパクトで探索し易かったです。

探索中、時々2人が離れるのでその時に話しかけると会話ができるのに加え、
一緒のときでもCキーを押すと日向彦と可惜夜の会話を聞くことができます。
これ、意外と重要になってくるので、色々なシーンで試してみると良いでしょう。
私はゲームパッド操作なのでCキーに当たるボタンがなくて、うっかり会話していませんでした。
エンディングに影響してきますし、他の他愛ない2人の会話も面白いです。
可惜夜は神様ですが、方言を喋るので親しみを感じます。
性格も気さくで良いキャラクターでした。

一部ホラーっぽい演出はあるものの、脅かしや追いかけられ要素はないのでホラー苦手でも大丈夫そう。
後半には時間制限のイベントもありますが、普通にやれば余裕の難易度でした。
ストーリーの骨格については、道中の書籍を読むことで何となく分かってきます。
中には恐らくあまり一般的には有名とまで言えない文献もあり、作者さんの造形の深さが垣間見えました。
(私が知らないだけかもですが)
どんな物語なのか、興味を惹かれます。

エンディングは、全部で5つに分岐します。
悲惨なエンドから爽やかなものまで、色々な結末で楽しめました。
エンディングによっては、日向彦についても色々と分かってきます。
能天気に思えた彼の、意外な一面に驚かされました。

ちなみに私は、END4→END2→END1→END5→END3 の順でクリアしました。
END4、2、1までは分岐点が分かり易くてさっくりクリアできたんですが、END3と5は少し難しかった。
攻略情報をじっくり見て挑んだのに、ポイントを外して何度かチャレンジするはめに。・゚・(ノД`)・゚・。
丁寧にひとつずつチェックして、ようやくコンプリートです。
ちなみにEND5がハッピーエンドなので、計画的にプレイするなら最後に見るのがお薦めかも。
私はEND3回収していないのに気づいていなくて、上記のような順番になりました。

END5をクリアすると、おまけ部屋で裏設定やキャラクター設定など見ることができます。
短時間で気軽にプレイできるのに、プレイ後の充実感は大きかったです。
細部まで丁寧に考えて作られた作品だなぁと感じました。
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白いプリンター

2018年12月06日 21:51

ゆめみのやまい【タイトル】 白いプリンター
【制作】 ゆめみのやまい 夢観士あさき様

白いプリンター
【ジャンル】 ホラー短編ノベル
【対象】 15歳以上(高校生~)推奨
【ED数】 2種類
【プレイ時間】 14分程度
【ツール】 ティラノビルダー
【容量】 87.7MB(ダウンロード版)
【公開日】 2018年5月27日
【プレイver.】 2.00

ある日、男は白いプリンターを拾う。 (作品ページより引用)


ふりーむ!はブラウザ版のみ、ノベルゲームコレクションではブラウザ版・ダウンロード版あり。
(この記事の作品タイトルからは、ふりーむ!さんの作品ページにリンクさせて頂いています)

ふりーむ!の作品ページ→  ノベルゲームコレクションの作品ページ→

ホラーゲームですし、何か怖いことが起こるに違いない……!
幸い、ウチにあるプリンターは黒。OK、大丈夫!
と、ドキドキワクワクしつつ読みました。

プレイ時間5分程度とありますが、ゆっくりじっくり読んだからか15分はかかりました。
ストーリー展開は、事前に予感した展開と大きく違わず、しかし面白い。
選択肢がひとつありエンディングが分岐するのですが、どちらを選ぶか真剣に悩みました。
一体何が起こっているのか、何となく想像はつくんですよね。
なので、「上の選択肢を選びたい」という気持ちになったのですが、
これを選ぶと悲惨な目に遭うのではないかと言う恐怖感が。

思い切って心のままに従った結果は果たして…・…!?
何はともあれ、このエンディングで良かったなぁと思えるものでした。
こういう展開は好きですよ。

※以下、ネタバレを含むので反転しないと見えないようにしています。閲覧ご注意下さい。

何に怯えていたかというと、この行動をすると
話を全く信じてもらえず、自分が犯罪者扱いされるのではないか
と疑ったんですよね。
かえってこっちの方が良かったのかな?とすら思ったもうひとつの選択は、
案の定と言った感じでした。

白いプリンターをお持ちの方でも、恐怖のあまりプリンターを買い替えたくなる……
ということはないと思います。多分。
短時間で楽しめる、良いホラーでした。
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奈落の華

2018年12月03日 20:59

妄想の繭【タイトル】 奈落の華
【制作】 妄想の繭 てるふぉん様

奈落の華
【ジャンル】 ホラーアドベンチャー
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 3種類
【プレイ時間】 1周1時間(トータル2時間)程度
【ツール】 RPGツクールVX Ace(RTP不要)
【容量】 250MB
【公開日】 2018年11月2日
【プレイver.】 1.03

―――あなたは地獄に落ちました。 (ふりーむ!作品ページより引用)


紹介文にあるように、「あなたは地獄に落ちました」という一文から始まるゲーム。
いきなり衝撃的です。

状況が分からないまま進んで行くと、そこは地獄絵図……という訳でもなく、普通の建物で。
まずは屋内を探索して主人公の記憶を辿っていくことになります。
追いかけられ要素やゲームオーバーは無いと聞いて何となく油断してプレイしていたのでしょう、
古典的な脅かし要素にびっくりして飛び上がりました。くっ、こんな手に引っ掛かるとは。
(ちなみに2周目も同じところで仰天しました……)
地獄と言われて覚悟はしていましたが、やっぱりホラーです。・゚・(ノД`)・゚・。

画面右上にKarmaという数値があり、行動すると上がっていくシステム。
一定数をクリアすると先に進めます。
これ、嫌な感じの行為で上がるんですが、神さまに祈っても上がってしまう。
カルマはいわば「行為」という意味のようですから、悪行でも善行でも当てはまるのでしょうが、
同じものとして積み重なっているのは何でだろうと首を傾げつつプレイしていました。

場面は進めば進むほど画面は凄惨になっていき、いたたまれませんでした。
「地獄」の苦痛がじわじわと伝わってきて、気持ちが沈みます。

そしてラストには驚きの展開が。
1周クリアして、えぇ、そんなのアリか!?と衝撃を受けました。
最初にクリアしてのはNOMALです。普通にプレイしていると、普通に辿り着くはずのエンド。
作品の雰囲気から覚悟していたとはいえ、正直、モヤモヤするエンディングです。
しかし、このエンディングのみだとタイトルの意味がピンと来ない面も。
他のエンディングについては、同梱のread meに攻略が記載されています。
作者さんの推奨プレイ順に載っているので、参考にされると良いでしょう。

私は推奨順通り、2周目でTRUE、最後にBADをクリアしました。
主人公の回想が淡々としているのもあり、彼女の人格も色々な捉え方ができるので、
NOMALとはまた違った人格に見えるTRUEの解釈を見ても、
何かが少し違えばこうだったかなとしっくり来るエンドでした。
私は決してハッピーエンド至上主義ではないものの、このエンディングが一番好きです。
(TRUEも一般的なハッピーではないと思いますが……)
「奈落の華」というタイトルにも因んでいて心に響きます。

TRUEで納得した方はBADを見ない方が良いと書かれていましたが、
やっぱり見たかったので最後にやりました。
これも「あり得そう」と思えるエンド。
NOMALともTRUEとも全然違った異質なエンドで、面白い。これも好きです。
タイトルの意味も、こちらのエンディングではまた違うものを象徴していて印象が変わります。

探索も難しすぎず、地獄のストレスに苛まれながらもゲーム自体は快適にプレイできました。
多少の脅かし要素はあるものの過度ではないので、ホラー苦手な方でもプレイし易いと思います。
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アイシャの子守歌

2018年12月01日 23:00

共食いうさぎ【タイトル】 アイシャの子守歌
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

アイシャの子守歌
【ジャンル】 探索ホラーアドベンチャー
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 25分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 18.7MB
【公開日】 2015年10月2日
【プレイver.】 1.00

暗く閉ざされた地下室で、少女は思う。

“ここから出られたら、どんなに素敵だろう
お兄ちゃんに会えたら、どんなに素敵だろう”

出口と兄を捜して、少女はひとり廃墟を彷徨う―― (一部ゲーム内より引用)


第11回 ふりーむ!ゲームコンテスト 演出部門で金賞を受賞された作品です。

横スクロールで廃墟らしき建物を探索する、ホラーアドベンチャー。
今までのあうぐさんの作品とは視点とキャラドットがガラッと変わっており新鮮です。
ちょっと頭大き目のアイシャが可愛い。
しかし、作風や演出は作者さんの持ち味が生かされ、研ぎ澄まされた作品でした。

過剰な脅かし表現はないものの、画面が目まぐるしく変化するのでびっくりします。
演出の感じは、一番最初にプレイさせて頂いた"AMANI"に近いかもしれません。
コンテストの演出部門での金賞が頷けます。

画面の演出はハッとさせられますが、探索スタイルとしてはあうぐさんの作品らしい鉄板で、
建物の中に散らばる日記の断片やPCのメールを見て、状況を少しずつ把握していくというものです。

ひとつひとつは意味が分かり難く首を傾げつつ進みましたが、プレイし終えて察するものがありました。
重く、やるせないストーリー。
しかし、ホラーにありがちな「そんなバカな」という無理やりな不条理もしくはドラマティックな不幸というよりは、
作者さんが一貫して問いかけてくるテーマには心に重く圧し掛かってくる真摯さがあり、考えさせられます。

前作「カルィベーリ」は、間違いはあるかもしれないにしろ自分の中でかなり明確に作品を解釈できた、
と思ったのですが、これは状況の想像はつくものの細かいところまでピースが嵌ったとは言えず。
PCの中に垣間見える画像が暗示するものなど、量り兼ねているものもあります。

プレイ後に他の方の感想を拝見したくて検索したところ、かなり丁寧に考察されているブログがありました。
私がプレイ後に想像したアイシャの身の上、この方の記事の後半部分に近いです
(これ深くは想像が及びませんでしたが)。
他にもあうぐさんの作品について深く考察された記事が多く、なるほど!と手を打ったところもあったので、
こちらにリンクを張らせて頂きたいと思います(完全ネタバレなので、そこはご注意下さい)。

フリゲと旅と映画について(記事→『アイシャの子守歌』 考察 感想
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冬蟲禍草

2018年11月26日 22:03

アメシコウ【タイトル】 冬蟲禍草
【制作】 アメシコウ

冬蟲禍草【ジャンル】 和風奇譚ADV
【対象】 15歳以上推奨
【ED数】 3種類
【スチル数】 13枚(差分 / ミニスチル数枚 など含まず)
【プレイ時間】 1周1時間17分(トータル2時間13分)程度
【ツール】 ティラノスクリプト
【容量】 230MB(ダウンロード版)
【公開日】 2018年11月11日
【プレイver.】 1.1

私たちは寄生される。

近代化を急ぐ都市から遠く離れた場所に、その村はある。
未だ前時代の色を濃く残し、緑溢れるその村を人々は―

山の神に呪われた村だと言った。

本来足で踏みしめる地べたに生えるはずの草花が、蔓が、苔が、
村人たちの体を苗床にこの世の春を謳歌する。
まるで山の一部となるように息絶えていく 禍草 と呼ばれるその呪いは、
等しくすべての村人たちの上に降りかかっていた。

たった一人をのぞいて。 (制作サイトより引用)


ふりーむ!からはダウンロード版のみ、ノベルゲームコレクションではブラウザ版もプレイ可能。
(この記事の作品タイトルからは、ふりーむ!さんの作品ページにリンクさせて頂いています)

ふりーむ!の作品ページ→  ノベルゲームコレクションの作品ページ→

こちらの作品は何年も前にゲーム紹介ページをお見かけしまして、
何て面白そうなストーリーなんだ!と心惹かれていた作品です。
一時更新が止まっていたので残念に思っていたのですが、こうしてプレイできる日が来るとは……っ!
もう、完成させて下さった作者さんに感謝です。

やや女性向け傾向ですが、乙女ゲーというよりは怪談・奇談に相当する伝奇ノベルかと。
奇病なのか呪いなのか。身体から植物が生えるという村人たちが暮らす、閉鎖的な村が舞台です。
植物とはいかずとも、現実の我々も悪性腫瘍のような病魔に蝕まれる運命は抱えている訳で。
身体の中に巣食う忌まわしいものに、怯え、怒り、否定し、そして諦念を抱く。
村人たちの感情は想像するに難くありません。

そんな中、人知を超えた存在として君臨する「あらひとがみ」。
人間離れした美しさ、表現する文章も素敵でしたが、語らずともイラストを見れば伝わってきます。
作品中で顔がきちんと描かれているのは主人公のアヤメ、幼馴染のナズナ、そして現人神の3人のみ。
中でも現人神は群を抜いて妖しく美しく、見惚れてしまうシーンが多かったです。

ストーリーは奇怪なだけではなく実に淫靡で、残酷、そして美しくもありました。
ただただ目を背けたくなるような残酷さというよりは、怖いのに、後ろめたいのに
つい覗いてしまいたくなるような引き付けられる何かがあります。
タイトルの元になっている冬虫夏草も、奇怪な現象に顔をしかめつつも生命の神秘に畏怖させらるものです。
それに似た感情のようでもあり、或いは単に怖いもの見たさや秘密を垣間見たい好奇心なのかも。

エンディングは、どれも「ハッピーエンド」と言えるものではないと思います。
もしこの作品がもう少し乙女ゲー寄りなら、また一味違った穏やかなエンドもあり得たのかもしれません。
ただ、伝奇ノベルとしてはこの終わり方で良かったと思えるものでした。

日本の昔話や怪談が持つ雰囲気を踏襲した作品だなぁと思います。
幼い頃はただただ怖くて震えていたそれが、大人になった今では澱となっていつまでも心に残っている。
そんな原風景をどこかに感じるのでした。
理詰めで考えるよりは、御伽噺がもたらす余韻を楽しむべしです。

エンディングは3種類。
私は自力コンプリートできましたが、やや手間取りました。
詰まった方は、作者さんのtwitterから攻略ページへのリンクがあります。
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