きつねのオンがえし

2021年11月17日 20:00

偽書[香津宮綺譚] 【タイトル】 きつねのオンがえし
【制作】 偽書[香津宮綺譚] 香津宮裕介様

きつねのオンがえし
【ジャンル】 短編サウンドノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 - (分岐なしノベル)
【プレイ時間】 3分程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 8.69MB
【公開日】 2018年10月1日
【プレイver.】 1.01

寝るまえに突然の訪問者。
姿は見えずとも声はする。
そんなお話。 (制作サイトより引用)


3分程で読めるショートストーリー。ボイス付です。
最初は微笑ましいお話かな?と思いきや、途中から雲行きが……。
途中ゾッとしました。
コミカルな面もあり、ものすごく怖いという類の話ではありません。
でも、そのコミカルさと不気味さのギャップが何とも居心地悪くてもぞもぞします。

読み終わって、あれ、これオンってそういう意味?と思ったんですが、
よく見るとタイトル画面にきちんと表示されていました。気付かなかった……。

しかし、オチの含みとか何かありそうと思ったものの、考察しきれませんでした。
何だか今晩の夢に出てきそう。いや、既に出てきたことがあるかもしれないなぁ。
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妖怪不条理小咄『妖隠録 弐 ~ 天井嘗』

2014年10月18日 13:14

偽書[香津宮綺譚] 【タイトル】 妖怪不条理小咄『妖隠録 弐 ~ 天井嘗』
【制作】 偽書[香津宮綺譚] 香津宮裕介様(代表)

妖怪不条理小咄『妖隠録 弐 ~ 天井嘗』
【ジャンル】 和風怪談サウンドノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 - (分岐なしノベル)
【スチル数】 -
【プレイ時間】 22分程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 13.7MB
【公開日】 2014年9月12日

妖隠録 弐 と銘打たれていますが、物語としては前作と繋がりはないようです。
ただ、同じ世界を共有しているそう。
前回の妖隠録も印象は強烈だったんですが、細部は記憶が薄れていましたので
こちらをを読むにあたって、また読み直してみました。

前作は、あの世とこの世の境目を自覚なくふらふらと彷徨い歩くような危うさがあったのですが、
今回は一人の人物が正常と狂喜の狭間を自覚しつつもふらふらする心許なさを感じました。
元々私がこの手の話に不快感を感じるたちなので、読んでいて何とも気持ち悪く、
幾度となく背筋がぞわりとしました。
天井のしみに関してはある予感があったものの、終盤の展開は素直にびっくり。

文章に合わせて文字が動く演出も初めてみましたが、雰囲気があって良かったです。
ただ、香津宮さんの文章はそれだけで洗練されていて完成されているので、
あまりに同じ演出が続くと、ややくどさを感じる面も。
元々こちらはビジュアルノベルとして書かれた作品ではないようなので、
あとから演出を付け足すと、そのあたりのさじ加減を図るのが難しそうですね。

結局、妖怪は見る人間の心根によって姿を変えるのかもしれないな、と思います。
何でもない、と思えば何でもない。
恐ろしいと思えば、それは恐ろしいものなのに違いありません。
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かぜきりばね

2010年11月18日 21:42

偽書[香津宮綺譚] 【タイトル】 かぜきりばね
【制作】 偽書[香津宮綺譚] 香津宮裕介様

かぜきりばね
【ジャンル】 短編サウンドノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 - (選択肢なし)
【スチル数】 -
【プレイ時間】 15分程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 5MB
【公開日】 2010年5月23日

過去形で語られる物語はいつも悲しい――
そんな一文を目にした事があります。
この物語もそうだからなのか、水墨画のような雪の積もる山村の侘しい背景のせいなのか、
始終悲しい雰囲気が付き纏っていました。
何となくある予感はしていてそれは当たってはいたのですが、登場人物の反応に
違和感があって、何となくすっきりとしない読後感が残りました。

※以下、ネタばれが含まれるので反転させておきます。
ネタばれが嫌な方は、閲覧にご注意ください。

何だか主人公や母親の反応が普通そういう事が起こった時のそれではなかったので
「あれ?」という感じです。本当にこの村では蘇りが起こり得るという設定なんでしょうか。

ラストでたくさんのが空に登っていく様はとても幻想的でしたが、そのあまりの多さに
実はそこに居た全員が「帰って来た人」だったのかと、少しうすら寒い気持ちにもなりました。
母親が祭に向かう主人公に「お父さんにあまり飲みすぎずに帰ってくるように言っておいて」
と言うシーンも、実はお父さんも既に亡くなっていて、帰って来てっていうのはもしかして
そういう意味なのか!?とか。

タイトルの「かぜきりばね」は、鳥が飛ぶために必要な羽根らしいですね。
つぐみも行くべきところに飛び立つことができなかったつぐみも、最後の主人公との逢瀬で
ようやく飛び立つ事ができたようです。
つぐみにとって秋の言葉がまさに「かぜきりばね」だったのでしょうか。
本当のところはよく分らなかったけど、色々と想像力が働かせられる物語でした。
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うたかたの月

2010年01月10日 19:22

偽書[香津宮綺譚] 【タイトル】 うたかたの月(ver 1.3)
【制作】 偽書[香津宮綺譚] 香津宮裕介様

うたかたの月
【ジャンル】 アドベンチャー風ノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 6種類
【プレイ時間】 1周15分程度
【ツール】 RPGツクール2000
【容量】 1.38MB
【公開日】 2007年12月19日

【注意】このゲームをプレイするには別途RPGツクール2000のランタイムパッケージが必要です。
ダウンロードはこちらから→ツクールweb

ツクール製ノベルゲーム。多少キャラを操作する場面もあります。
エンディングは6種類で、多分、Game Overが3種類と残り3つ……のはず。
「姉」のエンド(と勝手に呼んでみます)のベスト及びグッドらしきエンディングは非常に美しく、
伏線も纏まっていて気持ちが救われますが、残りはちょっと昏い物語です。
何と言うか、「母」のエンド(と勝手に(略))は一番胸が締め付けられました。
物語が良いだけでなく、ツクール製ならではの分岐の仕方などもなかなか面白かったです。

途中の会話では選択肢がいくつかあるのですが、一定のタイミングでしかセーブできないので、
繰り返しプレイがちょっと不便でした(ツクール製なのでスキップもできませんし)。
好きなときにセーブできる機能が欲しかったなぁと思います。
終わってみれば全ての選択を試さなければいけないという訳ではなかったのですが、
几帳面なノベルゲーマーさんだと全部のパターン試したくなりませんか……!?
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アリスは鳥籠

2009年12月26日 21:14

偽書[香津宮綺譚]【タイトル】 アリスは鳥籠(ver 1.11)
【制作】 偽書[香津宮綺譚] 香津宮裕介様

アリスは鳥籠
【ジャンル】  サイコミステリサウンドノベル
【対象】 15歳以上推奨
【ED数】 - (選択肢なし・全2編)
【スチル数】 -
【プレイ時間】 1編1時間半程度
【ツール】 吉里吉里2/KAG3
【容量】 66.7MB
【公開日】 2008年8月30日

作品内でも注意書きがあるように、結構流血描写があります。血が苦手な方はご注意ください。

暗い物語なんですけど、文章が秀麗で読みやすくてぐいぐい引き込まれます。
使われている画像も個性的で、思わず目を惹かれるものが多かったです。
え、こんな写真の素材があるの?それとも自作!?と何度も見入ってしまいました。
(特に入浴中の裸体の写真とか……ごほごほ)
悪く言えば、画像の強い個性に時折文章への集中力を削がれたと言えなくもないんですが……
いえ、裸体を気にする私が悪いんです。はい。

それにしても、この作者さんの描く人間はリアリティがあるなぁと思います。
その人の生活環境とか性格とか考え方とか、リアルに伝わってきます。
特に前編の母娘関係。
彼女らの人生はかなり悲惨で、現実の自分からは程遠い環境なのですが、
鏡の裏表のようにお互い憎み合っているよう見えつつも実は依存している歪な関係が
生々しく感じられました。
また、それとは逆に少し常人離れした雰囲気の探偵も登場します。
彼の存在は非常にミステリアスで、現実と非現実的な精神世界を繋ぐ鎹のような
役割を果たしています。
彼の謎めいた雰囲気は非常に魅力的で、作品の良いスパイスでもありました。
エンドクレジットで原案に「探偵・蔦野瑞樹シリーズ」という表記があるのですが、
何か別の形でこの人が登場する作品が存在するのでしょうか。気になるところです。

この作品、過去に何度かのバージョンアップを重ねて現在の形が最終的なもののようです。
途中で一編追加されて現在は二編構成。個人的には後篇のほうが好きです。
前編のみバージョンのときにプレイした方も、ぜひもう一度手にとって頂きたい作品です。

ちなみに、アリスというからには「不思議の国のアリス」を意識した作品だと思われます。
しかし私、「不思議の国のアリス」の原作は、子供のころ本を手に取ったことはあるものの、
なぜか嫌悪感が先だってきちんと読んだことがありません。ですのであまり知りません。
ですので両者の関連性についてはあまり分りませんでした。
アリス好きな方ならまた違った面白さを感じられるのかもしれません。

※以下、ネタばれになりますので反転します。ご注意ください。

ずどんと暗闇に落ちたお話でしたが、前編の最後で希望の光が射して終わります。
この一旦落としてすくいあげる感じ、万華鏡奇談(残念ながら公開停止中だったので、
実況動画を拝見しました)にも通じるものを感じました。作風なんでしょうか。
今考えてみると良かったと思えるのですが、読んでいる時は暗い雰囲気に呑まれていたので
ちょっぴり拍子抜けしたような感がありました。
後編があることで、半端な読後感だったのが救われた気がします。
また、物語の展開の予想が付いた前編に比べ(予想がついても面白かったんですが)、
後編のほうは予想外の展開に驚かされました。
○○ミステリとしても秀逸だった思います。
……○○ミステリって、そう言った途端に読むほうが身構えてしまうのでハードル上がりますよね。
と思って伏せてみたけど意味あるんだろうか……。
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