幸せなエミリー

2019年01月11日 23:15

共食いうさぎ【タイトル】 幸せなエミリー
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

幸せなエミリー
【ジャンル】 探索ホラーアドベンチャー
【対象】 15歳以上(高校生~)推奨
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 40分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 20.4MB
【公開日】 2017年11月11日
【プレイver.】 1.02

「泣かないで、エミリー……ほら、ママみたいに笑って?」
誰よりもママが大好きなエミリーと、家族の物語。


ある家庭に起こった出来事を追憶する、探索ゲームです。
あうぐさんの作風を知っているので覚悟はしていたのですが、重い作品でした。
もう、初っ端から嫌な予感しかしないという。

ただ、この作品は過去作で見られた社会や境遇からくるやるせない不幸という側面だけでなく、
人間の狂気も感じられた作品でした。
「幸せなエミリー」というタイトルも印象的です。
他人から見て不幸でも、本人は幸せとに思っているという場合もありはするでしょう。
ですが、エミリーは本当にそうなのか?なぜこのタイトルなんだろう?と色々考えてしまいました。

以下、ストーリーのネタバレを含むので、反転しないと見えないようにしています。
プレイ前の方は閲覧にご注意下さい。

悲劇の中、娘の為に健気に笑顔を見せる母と、母親を笑顔にする為に誤った方法を取ってしまう娘。
一見そう見えるのですが、私にはエミリーは母の関心を一心に集めるために行動しているように見えました。
父親がほぼ留守という家庭環境から、恐らくエミリーの中で父親はほぼ他人に近かったのではないかと。
その父親が死に、愛する母は「他人」である父ばかり見て、父の為に泣き暮らしている。
自分も父と同じようになれば、母の心は自分に向くと思っていたのかなと。
それがあのラストに繋がったのかなと感じました。
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アイシャの子守歌

2018年12月01日 23:00

共食いうさぎ【タイトル】 アイシャの子守歌
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

アイシャの子守歌
【ジャンル】 探索ホラーアドベンチャー
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 25分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 18.7MB
【公開日】 2015年10月2日
【プレイver.】 1.00

暗く閉ざされた地下室で、少女は思う。

“ここから出られたら、どんなに素敵だろう
お兄ちゃんに会えたら、どんなに素敵だろう”

出口と兄を捜して、少女はひとり廃墟を彷徨う―― (一部ゲーム内より引用)


第11回 ふりーむ!ゲームコンテスト 演出部門で金賞を受賞された作品です。

横スクロールで廃墟らしき建物を探索する、ホラーアドベンチャー。
今までのあうぐさんの作品とは視点とキャラドットがガラッと変わっており新鮮です。
ちょっと頭大き目のアイシャが可愛い。
しかし、作風や演出は作者さんの持ち味が生かされ、研ぎ澄まされた作品でした。

過剰な脅かし表現はないものの、画面が目まぐるしく変化するのでびっくりします。
演出の感じは、一番最初にプレイさせて頂いた"AMANI"に近いかもしれません。
コンテストの演出部門での金賞が頷けます。

画面の演出はハッとさせられますが、探索スタイルとしてはあうぐさんの作品らしい鉄板で、
建物の中に散らばる日記の断片やPCのメールを見て、状況を少しずつ把握していくというものです。

ひとつひとつは意味が分かり難く首を傾げつつ進みましたが、プレイし終えて察するものがありました。
重く、やるせないストーリー。
しかし、ホラーにありがちな「そんなバカな」という無理やりな不条理もしくはドラマティックな不幸というよりは、
作者さんが一貫して問いかけてくるテーマには心に重く圧し掛かってくる真摯さがあり、考えさせられます。

前作「カルィベーリ」は、間違いはあるかもしれないにしろ自分の中でかなり明確に作品を解釈できた、
と思ったのですが、これは状況の想像はつくものの細かいところまでピースが嵌ったとは言えず。
PCの中に垣間見える画像が暗示するものなど、量り兼ねているものもあります。

プレイ後に他の方の感想を拝見したくて検索したところ、かなり丁寧に考察されているブログがありました。
私がプレイ後に想像したアイシャの身の上、この方の記事の後半部分に近いです
(これ深くは想像が及びませんでしたが)。
他にもあうぐさんの作品について深く考察された記事が多く、なるほど!と手を打ったところもあったので、
こちらにリンクを張らせて頂きたいと思います(完全ネタバレなので、そこはご注意下さい)。

フリゲと旅と映画について(記事→『アイシャの子守歌』 考察 感想
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カルィベーリ

2018年11月22日 22:06

共食いうさぎ【タイトル】 カルィベーリ
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

カルィベーリ
【ジャンル】 探索アドベンチャー
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 25分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 16.5MB
【公開日】 2015年2月14日
【プレイver.】 1.00

「……お姉ちゃん、おなかすいた」
家の中には空っぽの缶詰が転がるばかり。
ターニャはお腹を空かせた弟・エフィムの為に、食料を探しに出かけるが……


変わったタイトルだなぁとは思っていたのですが、タイトル画面に書かれたキリル文字を見て納得。
ロシア語かー!
"Колыбель"、英語だと"cradle"――揺り籠(転じて安住の地とか?)という意味のようです。

食べるものがない環境で、弟エフィムの為に姉のターニャが食料を探しに出かけます。
同作者さんの作品をプレイしたことがあればお分かりでしょうが、あうぐさんらしい重いストーリーでした。

タイトルのカルィベーリは、彼女が探索するホテルの名前として登場します。
“ホテル・カルィベーリでは、都会の喧騒を忘れて静かな時間をお過ごしいただけます”
パンフレットのそんな謳い文句から、平穏な日常の名残が垣間見えるのがまた悲しい。

なぜ彼女たちが困窮しているのかは、ゲームを進めると何となく分かってきます。
ホラー要素はあまりないものの、BGMの無い静かな中を黙々と探索する不安感はありました。
探索はあうぐさんらしいパターンで、複数の手記とフラッシュバックの回想でストーリーを見せる形式。
探索は迷うところがほとんど無く快適でした。
次々に手に入れたアイテムが繋がっていきますし、さりげなくアイテム説明に使い方のヒントもあり。
さくさく進めます。
途中で手に入る写真に記載された英文が、世界を暗示していて考えさせられました。

あまり良いエンディングは期待していませんでしたが、予想通り重く救いのない結末でした。
ラストの展開には、「えっ?どういうこと?」とびっくり。
びっくりしすぎてもう1周プレイし、そのおかげで疑問が氷解しました(と、思っています……多分)。

以下、ストーリーについての私の見解です。
ネタバレになりますので、反転させないと見えないようにしています。閲覧にはご注意下さい。


恐らくですが、最初にカルィベーリに籠っていた姉妹の妹・ニーナを殺したのはターニャだと思っています。
セピア色の回想シーンはターニャの記憶だと思っているのと、ストーリーの構成を考えての解釈です。
そしてラストで出てきた赤い服の少女が、「誰かの手記」に出てくる銃を持った子かな、と。
ニーナの姉は、「ニーナの隣に私の墓を作った」の示唆から、既に故人ではないかと推測します。
また、赤い服の少女が帰り着いた家は、序盤のターニャの家(というか住み着いていた家)とは別の場所。
最初はそこがターニャの家で、待っているのがエフィムだと思ったので「何で!?」と驚いてしまったのですが、
リプレイして見比べると家具が少し違うんですよね。
呼び方がエフィムは「お姉ちゃん」、ラストの子は「おねえちゃん」で表記が違うのも意図的な区別かなと。

寄り添うようにして生きるきょうだいの片割れを、生きる為に別のきょうだいの片割れが殺し、
そしてその子をまた同じ理由で別のきょうだいの片割れが殺してしまう……
そんな救いのない連鎖のストーリーだと思っています。

ちなみに、探索中に見つかる三葉の写真に書かれた文章は、検索してみるとロシアの偉人や子守歌、
イギリスのマザーグースからの引用っぽいです(ちょっと単語が違うところもあるのですが)。
"cradle"という言葉を含んだ文章から、ストーリーを暗示するようなものを選ばれたのでしょうか。

回想の中でホテルのフロントやレストランに人がいるシーンがあるのですが、
もしかしたら昔、ターニャはここに来たことがあるのかもしれません。
彼女の境遇を考えると無さそうなんですが……もしかしたら最初から孤児だった訳ではなく、
幸せな時代があったのかもしれないな、とも思いました。
だからこそ、継母の仕打ちに耐えかねたのかな、とか。
そういうことを考えると、より悲しいです。
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Blanche

2018年11月05日 21:13

共食いうさぎ【タイトル】 Blanche
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

Blanche
【ジャンル】 ノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 9種類
【プレイ時間】 1周2分(トータル10分)程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 7.78MB
【公開日】 2013年12月24日
【プレイver.】 1.01

ウディタ製の、ホラーノベルゲーム。
選択肢によって10種類のエンディングに分岐します。

文字は一行ずつロールダウンして表示されるという、独特な形式でした。
クリスマスのプレゼントのお話なのに、モノトーンの画面と雰囲気が不穏で。
タイトルの吹雪の音も不安を煽りますね。
作者さんの他の作品を知っているだけに、選択肢はもう、どれを選んでも嫌な予感しかしないという。
しかし、これを選ぶと何が起こるのか?という変化を楽しみにプレイできました。
予想通りにホラーな展開から、あれ?何も起こらなかった……というものまで様々なお話があります。

こんな昏いクリスマスノベルも、たまには良いかもしれません。
明るいイルミネーションで彩られた街の眩しさに目がくらんでしまいそうなとき、
喧騒を横目に、ひとり、静かにプレイしてみては。
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盲愛玩具

2018年10月04日 20:00

共食いうさぎ【タイトル】 盲愛玩具
【制作】 共食いうさぎ あうぐ様

盲愛玩具
【ジャンル】 探索ホラーアドベンチャー
【対象】 全年齢
【ED数】 2種類?
【プレイ時間】 30分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 8.33MB
【公開日】 2013年2月14日
【プレイver.】 1.02

玩具は持ち主を愛する
理由を考える必要はなく
ただ愛されるが故に愛する

――メイベルは、バートランドの元に来て1年。
1周年の記念に、バートランドは明日パーティーをしようとメイベルに提案する。

(一部ゲーム内より引用)


30分程度でクリア可能な探索ホラーアドベンチャーです。
ホラーと言っても過度な脅かし表現はありません。
心理的な怖さ、不気味さはあるもの、ゲーム進行にビクビクするような類の怖さはなかったです。

探索の舞台はそれ程広くないので、迷うことはないと思います。
一見普通のお家ですが、探索していくと異様なところもあり不気味さを感じました。

今までいくつか同作者さんの作品をプレイし、何となく作品の傾向は分かっていました。
序盤の紹介文も不穏ですし、幸せで明るい物語は期待していませんでしたが……
いやー、やっぱり予想通りでした。
ただ、怖いとか後味が悪い以上に、何だか考えさせられた物語でした。
自分なら、どちらを選ぶのだろう?

主人公メイベルは、2つの運命のどちらかを選ぶことになります。
そのうちのひとつは、普通こっちを選ぶでしょう!という選択肢なのです。
ですが、プレイしていると、果たしてどちらが良いのかと逡巡してしまう。
それは、簡単に片方をを選べない、つまり普通ではない彼女の悲しさが理解できるから。
ラストの彼女の描かれ方も、重く心にのしかかってくるのでした。
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