2018年10月02日 20:00

【制作】 晴れ時々グラタン ユキ子様

【ジャンル】 ビジュアルノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 3種類(+α)
【スチル数】 16枚
【プレイ時間】 1周52分(トータル1時間20分)程度
【ツール】 NScripter
【容量】 24.5MB
【公開日】 2010年9月10日
【プレイver.】 1.1
夏だった。
熱い太陽が、僕らを照らし付けていた。
「久しぶり、……しーちゃん」
夏の少女と、十年の時を経た僕との――約束の物語。 (制作サイトより引用)
「夏」をテーマにしたノベル作品です。
冒頭に、シェイクスピアのソネット(十四行詩)18番からの英文が引用されています。
引用は一部分ですが、本編読了後に気になって全文を読むと、まさにこの作品にぴったりな内容。
明記はされていませんが、もしかしたらこの詩から発想を得られたのかもしれません。
夏のうだるような暑さが心に染み、水底のぞっとするような冷たさに頬を撫でられるような、
肌に「温度」を感じられる、素晴らしいノベルでした。
この作者さんの作品は久々に拝読しましたが、いやー、上手いですねぇ。
物語が巧みで深くて好きな作者さんは他にもいますが、この作品、文章が飛びぬけて上手いと感じました。
私の個人的な感想ではありますが、読みやすく、感情の表現や言葉が詩的で、とても美しいです。
涙を夏の雫に例えた表現とか、抽象的でありながら情景が目に浮かぶようで、ほうっと息を漏らしそうでした。
文章だけでなく、アイキャッチで間を取ったり、イラストや画面転換での演出も良かったです。
主人公の強い公開や恋情がダイレクトに伝わってきて胸が締め付けられました。
エンディングは基本3種類。
決してハッピーエンドではないものの、トゥルーエンドは物語に相応しいと思えるものでした。
悲しいお話は苦手……という方にも朗報が。
実はもうひとつ、クリア後に読めるEXITRAからIFエンドを読むことができるのです。
これは、読者が夢見る幸せな結末。
私は決してハッピーエンド至上主義でなありませんが、やっぱりほっとしちゃいますね。
どちらが真実かは読者に委ねるという作者さんの姿勢に、ちょっぴり優しさを感じました。
また、同じEXITRA内から読める作者さんのあとがきは、本編のシリアスさから一転してコミカルな内容です。
こちらも重い気持ちを払拭してくれる明るさで、こちらにもほっとさせられました。
柘榴雨(12/07)
沙鳥(12/05)
沙鳥(12/05)
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かおりん(11/12)