親愛なる○○へ

2018年07月20日 20:00

有限の遑【タイトル】 親愛なる○○へ
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

親愛なる○○へ
【ジャンル】 探索ホラーゲーム
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 3種類
【スチル数】 5枚
【プレイ時間】 1周1時間40分(トータル3時間10分)程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 52.5MB
【公開日】 2017年4月2日
【プレイver.】 1.05

大学に入学し、一人暮らしをしている主人公の女性、つかさ。
一週間前から、彼女の元に差出人不明の手紙やプレゼントが届くようになる。
”愛する君へ”これはストーカー…?
降りかかる恐怖に怯えながら、つかさは自分に何が起こっているのか調べていく。
ストーカーは人間?それとも――。 (ふりーむ!作品ページより引用)


第13回 ふりーむ!ゲームコンテスト 女性向けゲーム部門で金賞を受賞された作品です。

受賞に相応しいと思える良作ですが、ひとつ疑問なのはなぜ女性向け部門なのか?と。
女性向け要素が皆無とはでは言いませんが、特に恋愛メインなストーリーでもなく。
とても面白い作品ですので、そこで男性が敬遠してしまうことがあっては勿体ないと思います。
ミステリー・サスペンス好きな方、男女問わずお薦めしたいです。

実はこの作品、フリーゲームから遠ざかっていてもうやらないな、と思っていた時期に
ゲーム実況動画で一通り見たことがあるのです。
通常は動画で見たゲームはプレイしない傾向なのですが、他の作品で作者さんの
ファンになってしまったので、こちらも改めて自分でプレイさせて頂くことに。

ストーカーの被害に悩まさせる、都会で一人暮らしをする女子大生のストーリー。
ストーカー行為はダメですが、確かに、常に傍で守ってあげたくなるような儚い雰囲気の美人ですよね。
ただ、彼女はその見た目にそぐわず、自分のことは自分で解決するという強さを兼ね備えた女性です。
そこが仇になり、友人や警察になかなか弱みを見せられない……という脆さに繋がっているのですが。

プレイを進めて行くと、彼女がどういう被害に遭っているを体験することになります。
バイト先の同僚、大学の友人、そして幽霊のような超常現象から何と自分自身まで、
何もかもが怪しく見えてくるという語り口が上手いです。すごい展開。

そして、道中には様々な謎解きもあり。
ストーリーは前述のように動画で見たことがあったので記憶に残っていたのですが、
謎解きはほぼ忘れかけていて苦戦しました。
特に、後半で出てくる箱の開け方は全く覚えておらず、相当悩みました。
しかし、翌日まで持ち越したところ突然閃いて何とかクリア。嬉しかったです。
そんなのアリかー!と思わずのけぞるような少し捻った謎解きもあり、結構難しいと思われます。

そして、GoodEndへの行き方も全然覚えてなく、初めはBadEnd2へ到達しました。
普通にプレイしていると真っ先にこれに辿り着くはず。
このエンドはBadながら、作品の真骨頂とも言える展開です。
あまりに印象的なだけに、そこは覚えていたので驚きは味わえず……悔しいところです。
Badをクリアすると、エンディング後に少しおまけのような要素あり。
これを見ると、心が抉られます。
こんなにBadで心が痛む、そして何としてもGoodに行かねば!と思わされる作品もそう無いかと。
そこではGoodEndへのヒントも貰えます。
自力で回収するのは少し大変なので、そこはありがたいところ。

そして、2周目で無事GoodEndへ。やったよ……。・゚・(ノД`)・゚・。
これも諸手を挙げて喜べるエンドではないものの、納まるべきところへ納まったかなというものでした。
BadEnd1は、作中ヒントもないのでさっぱり分からず、攻略サイトを頼りました。
これもちょっとフラグ立てが難しい。しかし、見ていくと「こんなシーンもあったんだ」と面白かったです。
Bad1も後味は悪いですが、それだけでなく何だかとても……複雑な気持ちにさせられました。

また、2周目以降は登場人物が「その時何を考えていたか」という心の声が追加表示されます。
それを見るとストーリー展開がより分かり易いので、スキップせずに読んでいくと面白いです。

これまでの皐月の夢さんの作品は、ストーリー自体が上手いというよりは、
魅力的な舞台と設定をベースにキャラクター同士の絡みや台詞の上手さで
魅せていくものが多かったように思います。
ストーリー以上に、台本と役者が素晴らしかったのです。
しかし、この作品はストーリー構成自体が秀逸で、思わず唸らされる逸品でした。
キャラクターも魅力的なのですが、もし役者を総入れ替えしたとしても恐らく作品は色褪せない。
今までの作品もすごく面白かったけど、更に進化されたなという印象を持ちます。
この作品が今の時点で最新作。
ゲーム制作大変だとは思いますが、新作作られないかなぁ……と心底待ち遠しい作者さんです。
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セブンテットクロス

2018年07月07日 19:00

有限の遑【タイトル】 セブンテットクロス
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

セブンテットクロス
【ジャンル】 微ホラー探索ゲーム
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 5種類
【スチル数】 8枚
【プレイ時間】 1周1時間50分(トータル3時間40分)程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 117MB
【公開日】 2017年1月4日
【プレイver.】 1.25

警察官になることを目標に大学に通う主人公、ユシア。
彼女は偶然にも殺害現場に居合わせてしまい、殺人鬼と間違われて刑務所に投獄されてしまう。
失意の中、刑務所で出会ったのは個性豊かな囚人たちだった。
彼らの協力を得ながら、脱獄の方法を探るユシア。
しかし、調べているうちに刑務所内で起きている”異変”に 気づいてしまう。
”――この刑務所は、何かがおかしい・・・”
ユシア達はその異変へ巻き込まれていく・・・。
囚人たちと協力し、無事に刑務所から脱獄することはできるのか。 (制作サイトより引用)


以前、過去作の紹介でも書いた通り、皐月の夢様のゲームは実はこれを最初にプレイしました。
あまりに面白くて、全作品プレイしよう!と思ったきっかけになった作品です。

刑務所の謎を探り脱獄を目指すという、なかなかユニークなストーリーのゲームです。
ドラマ(特に海外)だとありそうな設定ですが、フリーゲームでは見た記憶がありません。
牢獄が舞台、だと思い当たるんですけどね。
刑務所だけに、登場人物たちの服装はボーダーの囚人服。
ですが、へそ出しやミニスカート等、キャラクターに合わせた個性的なデザインばかりで面白いです。
自分だったらどんな服がいいかなぁ(入る気か!)と想像したりもしました。
キャラチップは少し頭でっかちのデフォルメキャラで、すごく可愛いのも良し。

無実なのに、何故か真っ黒な証拠を固められ投獄されてしまう主人公ユシア。
そんな馬鹿な……と目を疑う展開や、上記のスタイリッシュな囚人服など、現実感は薄いです。
しかし、リアリティよりもフィクションとして興味を引かれる設定、次に何が起こるんだろうという
続きを知りたくなるドキドキ感がたまらない。
そして、ユシアが刑務所で出会う囚人たち。彼らはいずれも個性的で、そこが一番の醍醐味かと。
特に中心人物となってくるキースは、詐欺師という設定ながら、切れ者で掴みどころのない性格、
そしてイケメンという魅力に溢れたキャラクターです。
そんなキースに最初は振り回されながらも、徐々に協力して謎に迫っていくという展開に胸躍りました。
ストーリーが上手いというより、ストーリーを上手く見せていく演出や台詞回しが巧みで素晴らしいです。

ただ、ユシア以外の囚人は、何かしら罪を犯して投獄されている人物ばかりです。
彼らが何を犯したのか、どんな過去があったのかも少しずつ明かされることとなりますが、
どこまで許容できるかは、個人の倫理観や経験に左右されそうだなぁという気はしました。
私もコレは心情的に許せるかなと思う人と、コレ、ダメじゃね?と思う人に分かれてます。
そして囚人たちの回想シーンは、彼らをより理解するための重要なシーンなのですが、
そこが文章だけで語られるのは少し残念ではありました。
“セブンテットクロス”というタイトルで、7人全員が主人公と言ってもいいはずの作品なのですから、
せめて1枚で良いのでCGがあればなぁと思いました。絵が魅力的な作者さんなので尚更なのです。

途中には謎解きもあり。難易度は中くらいかな?
見てぱっと分かる程に容易ではないけれど、じっくり考えれば正解に辿り着けるという感じです。
時間制限の所もあり焦りますが、最初はゲームオーバーも覚悟でどっしり構えて考えたら
きちんと時間内にクリアできました。
種類も閃きが必要な暗号のようなものから操作手順を考えるロジック系のものまで、
色々な種類があって楽しめました。
もし詰まっても制作サイトさんに攻略があるので安心です。

エンディングは全部で5種類。
Bad2とHappyは分岐が分かり易くなっており、その2つは1周目でさっくり辿り着けました。
NomalとBad1、3については、フラグの立て直しが必要でやや序盤から再プレイすることに。
しかし、手順が分かっていたので思ったより容易に全てのエンディング見ることができました。
どこまでフラグ回収しているかで最初に辿り着くところは変わると思いますが、
全エンド回収の為にはいずれにしても2周以上のプレイは必要です。

Bad系は予想通りと言えばそうですが、CG含めて思った以上にエグイ……。
その分Happyは熱い展開。その後のエピソードも予想を超えた形で、希望と幸せに溢れています。
特に、最後のCGでもう何もいらないと思える程に良かった、という気持ちに満たされました。

以下、長くなりますがネタバレありの感想とそれぞれのエンディングの感想を書きます。
既プレイでないと分からない書き方ですので、プレイ後の閲覧を推奨します。
反転させないと見えないようにしていますが、ネタバレが嫌な方はご注意下さい。

※以下、ネタバレ注意※






総じて、キャラクターの魅力、台詞の上手さ、キースとのシチュエーション、CGが魅力的な作品でした。
ストーリー展開自体はそこまで捻りはなかったかなと。
展開として、7人のうちのひとり(特にサイラスとか適役)が黒幕だとまた違った面白さがあったんでしょうが、
そういうところを見せたかった作品ではないのだろうと思っています。


以下は、エンディング毎の感想です。

◆ Bad End3 【殺人鬼

これ、個人的に一番納得いかないエンドです。モヤモヤします。
えー、何それ!?キースの証言もありそうなのに、そんな展開アリ!?と。
たった一つの救いは、キースが生存していることでしょうか……。



◆ Bad End2 【部品

多分この選択肢を選ぶとこうなるだろうな、と分かって初めに回収したエンド。
展開は予想通りでしたが、CGがエグくてうわぁ……と思いました。
しかし、細かく描かれているので思わす見入ってしまったという一面も。
この後のエリオットがどうなったのか気になるところでもあります。ちゃんと3回助けたのだけど。



◆ Bad End1 【失ったモノ

キースが好きな方には一番辛い展開ではないでしょうか。でも彼はカッコ良かった。
正直、これがキース以外のキャラクターだと、
「ああ、なんてこった、彼は良い奴だった。君のことは忘れず、これから頑張るよ……!」
という感じで終わってしまうかもしれないんですよね。
ある意味でキースの見せ場というか役得というか、彼以外では成立しないエンドだと思います。
しかし、ユシアのことだけ考えると私はNomalよりこちらの方が良かったとも思えます。
夢を叶えることができたのですから。
深い傷を抱えたものの、それをバネに頑張れるかどうかはユシア次第。
心折れずにちゃんと夢を叶えた時点で、彼女はきっと大丈夫だと思いたい。
エゴだなぁと我ながら思いますが、私がユシアの身内だったらそう思うかもしれません。



◆ Nomal End 【刑務所での日々

一見幸せそうですが、これ、メリーバッドエンディングというやつでは。
私はちょっと複雑な気分になりました。
そのうち冤罪が証明されるはずというドニスの台詞のように、当てのない期待感だけが救いの、
ぬるま湯のような平穏と幸福。
うーん、悪くはないんだ。でも喜べない。うーん。



◆ Happy End 【それぞれの始まり

これは、もう言うことはないお腹いっぱい、胸いっぱいのハッピーエンドです。
汚名を雪いだだけでなく、当初とは違った夢と目標を見つけ、それに向かって進んで行くユシア。
そしてキースとの再会。
本文でも書きましたが、最後のCGは日差しに溢れる中での2人が幸せそうで感無量です。
エンドロールで流れるその後の様子も、ひとつひとつスクリーンショットに取って眺めてしまいました。
これは、ドニスとの勝負は勝ったな……!と思ってしまったのですが、どうなんでしょうね。
これ、ぜひ乙女ゲーにして欲しいと思う程、この2人の関係にはときめきましたし、良かったです。
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現の夢幻

2018年07月03日 20:00

有限の遑【タイトル】 現の夢幻
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

現の夢幻
【ジャンル】 女性向け恋愛ADV
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 9種類
【スチル数】 19枚
【プレイ時間】 1周1時間(トータル3時間)程度
【ツール】 LiveMaker
【容量】 41.9MB
【公開日】 2016年4月29日
【プレイver.】 1.01


主人公である鈴広かなめ(名前変更可能)は、大学二年生。
かなめは明晰夢を見る事ができ、毎晩夢の中で亡くなった祖母と会うのを楽しみにしている。
同じ大学の友人である土屋真陽(つちやまさひ)と共に、それなりに充実した大学生活を送っていた。
そんなある日、かなめは夢の中で夢魔と名乗る男、イスカと出会う。
イスカによって連れて行かれた夢の世界は様々な物があり、本当に夢のような世界だった。
そこで出会う事になる青年、柏葉一颯(かしわばいぶき)は寡黙で謎の多い青年。
そうして一緒に夢世界で過ごすうちにイスカに気に入られ、夢に閉じ込められてしまったかなめ。
彼女は夢から目覚め、現実を生きる事は出来るのか。 (ふりーむ!作品ページより引用)


第12回 ふりーむ!ゲームコンテスト 乙女ゲーム部門で金賞を受賞された作品です。

夢の世界を舞台にした乙女ゲーム。
そんなストーリーなだけに、主人公のかなめは眠るのが大好きという女子大生です。
私も睡眠をこよなく愛していますし、大好きな祖母を亡くしているという経験も共通していまして。
私、乙女ゲーの主人公と自分とはかけ離れていると感じることが多いのですが、
かなめに関してはその2点で、同じだ……!と共感しまくりでした。

眠るのが好き、と聞くと寝てばかりのぐうたらなイメージが浮かびがち。
しかし、かなめは快適に眠れる寝具を開発するという夢を持って頑張っているのです。
そこもユニークというか、着眼点が渋いなぁと思いました。
理系なら、睡眠の研究をしたいいう方向性もありそうなのに。
睡眠のメカニズムとかあまり興味なくて、本当に「寝ること」自体が好きなんでしょうね。
また、彼女には「明晰夢を見る」という特技があり、そこがキーポイントになってきます。
明晰夢は私も見たことがありますが、夢をコントロールするにはかなりの精神力が必要でした。
かなめは、それを苦労なくいともあっさりとやってのける能力を持っています。すごい。
そんな能力があったら、普通の人以上に寝るのが好きになるのも頷けます。

そんなかなめと、夢の中を一緒に冒険する男性陣(攻略対象)は3人。
大学の友達である真陽、夢の世界で出会う夢魔のイスカ、そして謎の青年、一颯。

真陽は、登場シーンではごく普通の大学生とだなぁと平凡さを感じていたのですが、
正統派のヒーロータイプで、終わってみればこの方が一番好きでした。
かなめを庇って助けるシーンとかカッコ良すぎる……!
ストーリーも、思いがけないコミカルなシーンがあって面白かったです。
しかし、好きだったのは終盤のシリアスな展開。どうなるのかとドキドキしつつ読めました。
彼とのハッピーエンドは、ほっこりして一番好きです。
ただし、その分バッドエンドは悲惨で震えました。えぇ……ここまで悪化するの、と。

イスカは、かなめを夢の世界に閉じ込める夢魔。
ゲームの説明にもあるようにセクシーでちょっとエロティックなキャラを想像していたのに。
していたのに……!どうだったのかはゲームをプレイしてのお楽しみということで。
この方は個人的に好きなタイプでなかったです。
ただ、色々な意味で意外性があって面白いキャラクターだなと。
ハッピーエンドでは、幸せそうで良かったです。
バッドエンドは……居心地が悪い展開でしたが、意外性があって面白くもありました。

一颯は、前半で一度登場するので「ああ、この人も攻略対象なんだろうな」とは思うものの、
それ以降他のキャラのルートに一切登場しないので、かなり謎の人物でした。
こんなところで何してるのだろう、と。
少し無愛想でミステリアスなタイプ。見た目は一番好みかも。
ただ、彼はかなめと過ごす時間が短いのもあり、恋に落ちる過程にやや感情移入しにくかったです。
この方とのエンディングに関しては、ハッピーと同じくらいノーマルも好きでした。
希望の光がさっと射したように感じられる、未来への期待感をもたらす終わり方だと思います。

夢の世界というを活かして、現代が舞台でありながら、ファンタジーっぽい要素や
とんでもないシチュエーションも織り交ざっていて、両方の良さが味わえた面白い作品でした。
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一翼のアリス

2018年06月30日 19:31

有限の遑【タイトル】 一翼のアリス
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

一翼のアリス
【ジャンル】 女性向け恋愛ADV
【対象】 12歳以上(中学生~)推奨
【ED数】 12種類
【スチル数】 25枚
【プレイ時間】 1周2時間(トータル6時間35分)程度
【ツール】 LiveMaker
【容量】 68.1MB
【公開日】 2016年1月6日
【プレイver.】 1.21

普通の女子高生生活をしていた衣純/イスミ(名前変更可能)の前に、
白髪の青年、マシロが現れる。
「迎えに来たよ」と言うマシロによって、衣純は不思議な世界に連れ込まれてしまう。
そこはトランプの国、ハートの国と言うらしく、魔物や妖精など、
不思議な生物が存在する異世界だった。
衣純はハート国で帽子屋のユリオス、チェシャ猫のカミオと出会う。
ハートの国の女王と会った衣純は、彼女に言われる。
「この国を救って下さい。そうすれば、あなたを元の世界に帰しましょう」
ハートの国の救世主という一翼を担うことになった衣純。
滅亡しかけたハートの国を救うため、そして元の世界に帰るため、衣純は彼とともに旅に出る。
(ふりーむ!作品ページより引用)


タイトルの通り、不思議の国のアリスをモチーフにした乙女ゲームです。

いやー、心底好き!と思えてのめり込む乙女ゲームに出会えました。

私、「不思議の国のアリス」の原作は読んだことがないのですが、
小さい頃に読んだアリスの絵本が怖くて、今でもアリスと聞くと軽い嫌悪感を覚えます。
そんなプレイ前のマイナスイメージからの大逆転でした。
プレイ時間もかなり長いものの、飽きる事なく、長さを感じずにプレイできました。

この作品が好きな理由として、

・ 乙女ゲーかどうかを問わず、冒険ものが好き
・ ファンタジーが舞台の乙女ゲーが好き
・ 主人公がピンチに陥ったところを助けてくれる展開のある乙女ゲーが好き

と、好みのツボを突かれる要素がたくさん。
また、シナリオの展開や台詞回しが絶妙で、後半の盛り上がりでぐっと心を掴まれました。

物語は典型的な異世界トリップもの。
主人公の衣純が、白兎のマシロにハートの国へ連れてこられるところから始まります。
しかしこのマシロ、見るからにヤンデレ系でして。
私はヤンデレがあまり好きじゃないので、「うわー、この人怖い」と序盤は警戒しまくりでした。
また、そのマシロとは悪友というか犬猿の仲の、チェシャ猫カミオ。
そして帽子屋のユリオスと出会う事になります。
キャラクターの傾向として、マシロは一人ヤンデレ担当として異彩を放っており、
カミオとユリオスが飄々として軽い系で、この2人は少々似ている気も。
ただストーリーを進めて行くほどに違いは出てくるかと思います。

プレイしていると、図らずも最初にマシロルートに突入。
上記のようにこの方に対しては警戒心を感じつつプレイしていました。
序盤は確かに一方的な思い込みを見せるマシロですが、衣純と接するうちに変化が表れます。
ハッピーエンドのルートでは、序盤がそういう人なだけにクライマックスの展開には感動しました。
その辺りのストーリーの見せ方、本当に上手いと思います。
ただし、バッドエンドのひとつでは、ヤンデレ好きさんの期待に漏れず彼の本領が発揮されており……。
やっぱり来たか!と思いましたが、何となく怖さより切なさを感じました。

カミオは、一見気まぐれでチャラい人物に見えますが、接してみると意外な面が見えてくるのが魅力。
ただ、マシロとは違うとはいえ彼も大切なものがハッキリしているキャラクターで。
後半では、そこをキーポイントにした展開が魅せ場となっています。
カミオはハッピーエンド目指したのにバッド2へ辿り着いてしまったキャラだったのですが、
バッド2の展開には衝撃を受けました。え、何それ!?それじゃ衣純の決心は何だったの!?と。
想定外の驚きを感じたという点では良いものの、一番納得いかないエンドでした。

ユリオスは、最初から最後まであまり印象としては変わらないキャラです。
年齢が他のキャラより高く保護者的な存在なのですが、かと言って大人びている訳ではなく。
飄々としていて不真面目な感じでしょうか。
彼の場合、ラストでの台詞回しが本当に素敵でした。
この方はハッピーエンドもノーマルエンドもどちらの展開も大好きです。
その分バッドエンドのひとつはすごく悲惨で……ある意味死ぬより辛いかもと思ってしまった。
ただ、これはこれでお好きな方もいると思われます。
クライマックスの展開はどのキャラも素敵すぎて、クリア後もその辺りだけを何度も見返したのですが、
読み返した回数はユリオスが一番多いです。

ストーリーの骨格として、面倒なことは避けがちで立ち向かうことがなかった衣純が、
徐々に「変わりたい」と願い、勇気を振り絞っていく成長も描かれています。
最終的に現実世界へ戻る結末も用意されているのですが、この世界での経験が無駄にはならず、
良い影響(と、趣味)を与えているのは救いのように思えました。

それから、この辺にはあまり触れない方が良いとは思うものの、思わずにはいられないこと。
以前に別の異世界トリップものの作品でも書いたことがあるのですが、
女子高生が異世界に飛ばされてそのまま残るという展開についてです。
残された家族や友達のことを思うと気が重いです。めちゃくちゃ心配するだろうに(・ω・`)
ただ、前述の別作品では主人公がわりと軽いノリで異世界に残ったので心底そう思ったのですが、
今作では衣純がそこを分かった上で悩んで決断を下していることと、
現世界に戻るルートで、連れ去られた時点から時間が経っていなかったこと。
その2点では受け入れやすかったかもしれません。
もういっそ、天涯孤独という都合の良い設定にして欲しいと思わなくもないですが……
この作品の場合は、衣純は現世界に帰りたいと強く願っている点も肝になっているのですよね。
その点では「現世界に大切なものがある」のは必然ではあります。
フィクションでそこまで考えなくてもと我ながら思うのですが、どうしても引っ掛かってしまい
諸手を上げて喜べないので、異世界トリップ作品は毎回複雑な気持ちです。
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灰だらけは恋をする

2018年06月21日 20:00

有限の遑【タイトル】 灰だらけは恋をする
【制作】 有限の遑 皐月の夢様

 灰だらけは恋をする
【ジャンル】 女性向け恋愛ADV
【対象】 6歳以上(小学生~)推奨
【ED数】 12種類
【スチル数】 19枚
【プレイ時間】 1周1時間(トータル2時間半)程度
【ツール】 LiveMaker
【容量】 32.5MB
【公開日】 2014年4月8日
【プレイver.】 1.02

8年前に両親を亡くした主人公は、新しい母親と姉2人、兄1人と暮らしていました。
その新しい家族は意地悪で、主人公は灰だらけになって働きます。
そんなある日、お城で行われる舞踏会への招待状が届きます。
主人公はその舞踏会に参加したいと思いましたが、着ていくドレスがありません。
困った主人公の前に現れたのは変わった魔法使い。
魔法でドレスを作ってもらったおかげで主人公はパーティに参加できました。
そして王子様と出会えてめでたしめでたし・・・なんて、物語のように上手くはいきません。
主人公はある事件に巻き込まれてしまうのです。
それを乗り越え、HAPPY ENDを迎えることはできるのでしょうか? (制作サイトより引用)


第10回 ふりーむ!ゲームコンテスト 恋愛アドベンチャー部門で金賞を受賞された作品です。

タイトルから想像できる通り、「シンデレラ」をモチーフにした乙女ゲーム。
ファンタジーが舞台でサスペンスな展開が好きな方には、特にお薦めできる作品です。
ただし、展開によっては血生臭いシーンもありますのでご注意を。

シンデレラと同じく、ちょっと意地悪で高圧的な継母や義姉妹たちと暮らす主人公。
なのですが、原作のように不遇に耐え忍ぶだけの少女ではありません。
たとえ自分ひとりに押し付けられようとも、家事は自分がやるべき仕事だと納得している。
また、おかしいと思ったら意見は口にするし、自らの希望はきちんと伝える。
その上で否定されたり却下されて初めて、ダメなら仕方ないと一歩引く子なのです。
例え嫌な人物でも、それが自分の家族なのだと彼女たちのありのままを受け止めいて、
理不尽にも思えますが、不憫さ以上に意識の高さに尊敬の念を覚えました。
逆に言えば人の悪意を感じにくい(鈍感)という面もあるのですが。
それを置いても、やっぱり良い子過ぎるよ……!

そんな彼女が出会うお相手は3人。
原作には居ない義兄、そして王子様、謎の魔法使いです。
プレイ前は「シンデレラなら王子様でしょ!」と思っていたのですが、他の2人も良かった。
シンデレラとは思えないきな臭い展開や意外性もあって、どのルートも楽しめました。

義兄アベルはお城で主人公を守ってくれるシーンがあり、その辺り好きでした。
ちょっと家での不甲斐なさというか、継母たちの仕打ちにノーリアクションな姿勢は
どうなの?という複雑な思いもあるのですが……。
ただ、この方はそういうカッコ悪さも含めてのキャラクター造形が良かったと思います。

そして一番期待していた王子様のクロヴィス。
街中での出会いのシーンは、キター!という展開でときめきます。
ただ、出会いからの日数が短いのもあり、恋に落ちる展開はやや性急に感じました。
キャラクターに意外性はあるのですが、他の2人のキャラが立ちすぎていて霞んでいた感も。
でも、やっぱり王子様と恋に落ちる展開は憧れですし、魅せ場のダンスシーンはすごく素敵でした。

また、魔法使いのルシアンは正体が最後までよく分からないミステリアスさが魅力です。
この方が恐らく一番複雑な事情を抱えており、主人公との関係に悩む姿が印象的でした。

どの方を選ぶにしろ、バッドエンドは結構ツライ。
その分、ハッピーエンドは幸せになって欲しいと心底思わされました。

攻略については制作サイトさんに情報あり。
基本的には攻略したいキャラを追っていき、選択肢を外すとバッドに逸れる感じです。
クリア後は、画廊でエンディングリストやスチルが見られます。
コンプリートするとおまけのスチルもあり。眺めてニヤニヤできるスチルで、堪能させて頂きました。
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