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あの日あの夏あの祠

2021年11月14日 15:02

鳥籠のゲーム作品【タイトル】 あの日あの夏あの祠
【制作】 鳥籠のゲーム作品 鳥籠様

あの日あの夏あの祠
【ジャンル】 掌編ADV
【対象】 全年齢
【ED数】 1種類
【プレイ時間】 20分程度
【ツール】 WOLF RPGエディター
【容量】 141MB
【公開日】 2017年9月25日
【プレイver.】 1.00

僕と、幼なじみの玲人・栗子の3人は、いつも小さな祠のある境内で遊んでいた。


ふりーむのゲーム開発企画「カイダン夏祭り」「ワンマップフェス3」参加作品。

公式サイトの紹介文にあるように、SF(少し不思議)なSFです。
選択肢はあるものの、台詞が変わるだけだったり(これが面白くて全部選びたくなるという)、
選びそこなうとゲームオーバーになるので、実質ストーリー分岐はありません。
読み終わって、切なく、暖かい気持ちになりました。

最初のワンシーンで「もしやこの人は」と思うところがあったのですが、そこは当たっており。
しかし、その時の想像を超えてたいへん気持ち良く纏まったストーリーで、
しっかりと組まれ、伏線を貼られた構成には感銘を覚えました。

それにしても、冒頭で主人公たちが遊んでいるあのじゃんけん遊び、名称はなんていうんでしょうね。
私も漏れなくやったことがある、懐かしいあの遊び。全国、世代問わずやってるんでしょうか。
彼らが決してグーで勝たないのは、あの企業名に配慮したのか、
それともグーだけ進める歩数が少ないから出さないのか。といらんことも考えてしまいました。

そしてこの作品、この冒頭の遊びとキャラクター名が深く連動しています。

以下、ちょっとネタバレになるかもしれないので、反転しないと見えないようにしておきます。

玲人は「チョコレート」から、栗子はグーで買ったときの企業名。おいしくて強くなるやつですな。
また、松林吾郎さんもよく見ると、松(パイン)、林吾(リンゴ→アップル)、つまりパイナップルになっているという。


そうすると、主人公の名前は……?と考えたとき、物語に隠されたもうひとつの真実が見えてくるのでした。
この想像が当たっているかは定かではないものの、栗子からの呼ばれ方を考えると、やはりそうかなー、と。
素直な作品に見えても決して表に出さない含みを持たせているところが、実に鳥籠さんの作品らしいなと思います。

実はこの作品、更新が途絶える約一年前にプレイして下書きだけ書いておりまして。
今回掲載するにあたり、もう一度プレイしました。
ストーリーを知っていて読んでもまた胸にグッときたし、何気ない台詞の意味も鮮明に見えてきて面白かったです。
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Planet nine

2020年11月12日 20:00

あ行。【タイトル】 Planet nine
【制作】 あ行。 アワラギ様(代表)

Planet nine

【ジャンル】 ビジュアルノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 - (分岐なしノベル)
【プレイ時間】 38分程度
【ツール】 ティラノビルダー
【容量】 114MB(ダウンロード版)
【公開日】 2018年4月8日
【プレイver.】 1.04

いつからだろう、わたしは、僕は。いつも気づくと、真っ白な光に包まれていた。
光の先には真っ暗な闇。星々が散らばり、流星が流れる。これは夢? それとも幻?
不思議な体験を共有する3人が出会い、いつしかある1人の人物の元へと集う。
(制作サイトより引用)


ティラノビルダー製で、ブラウザ・ダウンロード版あります。

ふりーむ!の作品ページ→  ノベルゲームコレクションの作品ページ→

分岐なしのノベル作品。
同じ宇宙の「夢」を体験した人たちが出会い、その理由を探っていきます。

登場人物たちが、タイトルである"Planet nine"や明けの明星に例えられて織り成すストーリー。
文章が詩的なことも相まって、とてもロマンチックだと感じました。
物語とは関係ありませんが、中島みゆきさんの「地上の星」という歌を連想しちゃいました。

私は宇宙にあまり関心がなく、Planet nineのことも知りませんでした。
読み終わって調べてみたところ、興味深いですね。
この作品を読んでから、夜空を見上げて金星を眺めたり、未だ捉えられないPlanet nineに
思いを馳せたりするようになりました。
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森の不思議と小さな出会い

2020年11月10日 20:00

usamignon【タイトル】 森の不思議と小さな出会い
【制作】 usamignon 花雪様、 花月 小鞠様

森の不思議と小さな出会い【ジャンル】 短編ノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 2種類
【プレイ時間】 10分程度
【ツール】 ティラノスクリプト
【容量】 203MB(ダウンロード版)
【公開日】 2020年9月26日
【プレイver.】 1.0

森の先の小さな村で暮らすソフィ。
ある日彼女はひとりで過ごしていた男の子、ルイに話しかける。
そっけない態度の彼に、ソフィは言った。
「とっておきの場所を教えてあげる!」
その先に進むと、ふたりは小さな少女と出会った。

森の奥の少し不思議な物語。 (ノベルゲームコレクション作品ページより引用)



パステルカラーのとっても可愛い色合いとキャラクターに惹かれてプレイさせて頂きました。

見た目の通り、暖かく優しい、ほっとするショートストーリーでした。
元気で明るい少女ソフィと、最近村に来たばかりのクールな少年ルイ。
2人が森の中で見知らぬ家を見つけ、そこで不思議な少女と出会います。

この不思議な少女・ミシェルがおっとりしていて、ふんわり可愛い!
キャラクターの個性が全員違って、それでも仲良しなのが良いですね。

ひとつだけ、ミシェルのお母さんがどうなったのかがちょっと心配。
「戻ってこない」というミシェルの言葉の意味が気になります。
ただ、この優しい世界ならきっと良い未来が待っているに違いないと信じたいです。
世の中、本当はそう上手くは行かないから。せめて、物語の中だけでも。
彼女たちが幸せであって欲しいです。
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カペル-Caper-

2020年11月09日 20:00

アルセイド工房【タイトル】 カペル-Caper-
【制作】 アルセイド工房 沙木直樹様

カペル-Caper-
【ジャンル】 考察系超短編ノベルゲーム
【対象】 6歳以上(小学生~)推奨
【ED数】 7種類
【プレイ時間】 1周1分(トータル14分)程度
【ツール】 ティラノビルダー
【容量】 126MB(ダウンロード版)
【公開日】 2020年3月13日
【プレイver.】 1.01

とあるアパートの6階角の部屋、そこにナニモノかが訪れる。
「ねぇ、ここを開けてよ」ナニモノかは淡々と告げた。
これは、様々な可能性の分岐した、短い短い物語。 (制作サイトより引用)


ティラノビルダー製で、ふりーむ!もしくはノベルゲームコレクションにて公開されています。

ふりーむ!の作品ページ→ ノベルゲームコレクションの作品ページ→

ふりーむ!の1分ノベルコンテスト参加作品。

「僕」の部屋をノックする誰か。
誰かに答えてドアを開けるか、ドアスコープを覗いて誰なのかを確かめるか。
行動によってエンディングが分岐する、ショートノベルです。
1分ノベルとしては、数分で一話が終わる、オーソドックスな分岐ノベル形式でした。

ドアの向こう側の人物は尖った耳を持ち、いかにも人間ではなさそうです。
いつドアを開けるかでストーリーや人物ががらりと変わるのが面白かった。
真実は読者の想像に委ねられており、詳細は語られません。
考察系って、あまりに抽象的すぎて恥ずかしながら私の頭では解釈が及ばない作品も多いんですが、
この物語は見終わってふと心にどういう情景なのかが浮かんでくるものがありました。
もちろん、その情景が真実なのかどうかは分かりませんが。

どのエンディングも、ハッピーエンドとは言い難いです。
ですが、なぜか嫌な感覚がなく、漂う悲しみさえ素直に受け入れられるようでした。
不思議な感覚です。
訪問者の正体が例え何であれ、孤独な自分に寄り添ってくれると感じるからかもしれません。

トゥルーエンドは、読んだありのままを捉えると分かり易いエンディングなのですが、
ドアの向こう側のはずが風景が部屋の内側のように見えるので、そう単純ではないのかも。
素直に捉えることもできるし、穿った見方もできるころが面白いと思いました。
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うなずく、うべなう

2020年11月03日 20:08

maymoku games【タイトル】 うなずく、うべなう
【制作】 maymoku games すてばち様

うなずく、うべなう【ジャンル】 短編ノベル
【対象】 全年齢
【ED数】 3種類
【プレイ時間】 1周17分(トータル45分)程度
【ツール】 ティラノスクリプト
【容量】 190MB(ダウンロード版)
【公開日】 2020年6月21日
【プレイver.】 1.00

口のきけない元死体として、話をきいては相槌を打つお話です。 (作品ページより引用)


ティラノビルダー製のショートノベルです。
制作サイトさんの作品ページとふりーむ!でブラウザ版がプレイ可能。
ノベルゲームコレクションではブラウザ版・ダウンロード版が公開されています。
この記事のタイトルからは、制作サイトの作品ページにリンクさせて頂いています。

ふりーむ!の作品ページ→  ノベルゲームコレクションの作品ページ→

グラフィックを一目見て、「な……キョンシーだと!?」とびっくり。
どうやら立ち絵は素材をお使いのようですが、キョンシーの立ち絵素材があるということもびっくり。
需要、少なそうなのに……(笑)
キョンシーをご存じない方は、ググってみて下さいませ。

それはさておき、このゲームはそのレアなキョンシーを上手くストーリーに絡めていました。
プレイヤー側の目線となる人物は、何と……死体です。
性別も年齢も何もかも、一切分かりません。
ただ、何かしらの理由で死亡したところを、2人のキョンシーに蘇生させられたようです。
しかし蘇生術は成功せず、首を僅かに動かすことしかできない瀕死のゾンビとなってしまいました。
うべなうは「肯う」と書くようですね。知らなかったので、ひとつ勉強になりました。

うーん……自分が死体なら、この状況はすごく嫌です。
無理やり起こされた上、また死ぬのを待つだけなんて。・゚・(ノД`)・゚・。
そんな死体の私に、2人のキョンシーは身の上話など色々と話しかけてきます。
こうなってはもうどうしようもないので、2人に付き合うしかないのでした。

彼らの話や問いかけに頷いたり、時には無言で否定を示したり。
そう、私は決してNoと言えない日本人ではなかった……!
頷かないことでNoという意思をちゃんと示せるのでした。
頷くと画面が動いたり、時には瞬きしたり視界がぼやけたりと、
画面のこちら側の存在が感じられる演出が面白かったです。

会話への返答によってエンディングが分岐していきます。
ひとつめ、ふたつめは自力で到達できたものの、みっつめがクリアできず攻略を拝見しました。
かなり頑張って色々選択肢を試したのに、ダメだった~εミ(ο_ _)ο
ひとつエンディングを迎えると、タイトル画面の「付記」からヒントと攻略が見られるようになります。
2人についてのエピソードも見られますので、自力クリアできた方も見てみると良いかも。

話を聞いているうちに、彼らのおかれた状況が段々と分かってきます。
後半は意外なことも分かってきて、あぁ、何てことだと同情を禁じ得ませんでした。
不死の存在となって過ごす時間の虚しさ、悲しさをどこか感じてしまいます。
しかし、2人いるからこそ支え合って「生きて」いられるのだなぁと。
それもどこか危うい均衡であるように思えますが……。
彼らの未来に希望はあるのでしょうか。願わくば、どうか穏やかで幸福でありますように。
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