籠の街

2018年07月27日 20:00

籠の街【タイトル】 籠の街
【制作】 稲海 かずき様

籠の街
【ジャンル】 ノベルゲーム
【対象】 全年齢
【ED数】 8種類
【プレイ時間】 1周30分(トータル2時間)程度
【ツール】 Ren'Py
【容量】 247MB
【公開日】 2017年7月1日
【プレイver.】 1.11

少年は、自問自答を繰り返す。

小さな街。僕の住む街。僕の育った街。僕はこの街が好きだ。
変わりたくなかった。変わっていくのが怖かった。
大人になりたくなかった。子供のままでいたかった。
僕は、このままでいたかったんだ。 (制作サイトより引用)


第13回 ふりーむ!ゲームコンテスト 短編部門にて金賞を受賞された作品。

コンテスト受賞作をプレイさせて頂くと、時折「これはまさに金賞に相応しい……!」と
膝を打つ名作に出会えます。この作品もそのひとつでした。

おとぎ話のようでもあり、世界のどこかに存在する遠い国のようでもある、異国情緒ある街が舞台です。
大人になりたくない少年と、少年が大切に思う人々の物語。

私は、自分が子供の頃には「子供のままでいたい」と思うことはなかったように思います。
子供時代は上手くいかないことばかりで、満ち足りたものではなかったから。
なので、この物語の主人公はきっと今がとても幸せな子供なんだろうなと思っていました。

少年には両親がいないようです。
しかし、口うるさくも気さくなおばあちゃん、友達のお嬢様、坊やと良い人たちに囲まれていて。
時には喧嘩もするようですが、きちんと意見をぶつけ合える良い関係で、確かに幸せそう。
主人公含めこの物語の人々はきちんと自分の意見と考えを持っていて、恐れずにそれを語ります。
特にお嬢様。
世間知らずのご令嬢のようで、物事を深く、広く、それでいて真っ直ぐに見据えることのできる少女でした。
そんな彼女の語り口には、感銘を受けました。

エンディングは、それぞれの登場人物×2つずつ。
最初は、おばあちゃん、お嬢様、坊やの3人で、それらをクリア後にもうひとり登場します。
どこかに作者さんお薦めのプレイ順が書いてありましたが、私は心の赴くままにやりました。
真っ先にプレイしたのは、おばあちゃんルート。
自分がおばあちゃんっ子だったので、おばあちゃん好きすぎて困りました。

あれ?と思ったのは、多少の差はあれ、2つあるエンディングがどちらも似ていること。
ひとつは一歩だけ大人になったエンド、ひとつは子供のままで幸せエンドなのかな……?
でも、何となく中途半端なような、分かり辛いような。
そう首を傾げつつ4人目のお話を読んで、疑問が全て氷解しました。
まさに、このルートに物語の神髄が詰め込まれています。

最後は、少年が子供のままで過ごしたいのか、大人になる一歩を踏み出すかの選択があります。
どちらを選ぶにしろ、少年は自分の考えをはっきりと述べていて。
それを聞いていると、必ずしも大人になることが正しく唯一の道とは思えなくなりました。

ただ、どちらが良いとか、少年の気持ちは差し置いて、私は少年に大人になって欲しいと願いました。
そしてその先に、この道を選んで良かったと思える日が来るように。
読んでいて涙が零れそうで、それを堪えながら心底そう願いました。

※この先に、少しだけネタバレかもしれない部分がありますので、反転させないと見えないようにしています。

特に、【おばあちゃん、お嬢様、坊やの名前が明かされる】シーンは本当に泣きました。
今まで出ないのが不思議に思っていたのに……ここで……。

ちなみにこちらの作品、フリー音楽素材として提供されている「今宵夢の終わりにて」という曲が
メインテーマとして採用されています。
公式ホームページや、タイトル画面で流れる音楽です。
これが、フリー素材ながら実はこの作品のために作られたのでは?と思ってしまう程ぴったり。
今でも聴くと、物語を思い返して涙腺が緩みます。

イラストも綺麗ですし、読んで良かったと心底思える良質のノベル作品でした。
「物語」を読みたい方、ぜひお手に取ってみて下さい。お薦めです。
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